勝者なき戦い ~チャリウッド2016・その1~

これまで―

ぷっちだるの活動を見てきた親しき者達に告ぐ。

これより先は見てはならぬ・・・

其は見ずとも良い物語。

見ずとも良い。

見れば心憂い必ずや後悔する。

これより先は見てはならぬ物語なのだ。

ABC主催「中之島春の文化祭2016」から数週間。

次なる彼らの舞台はMBS主催「チャリウッド2016」。

梅田・茶屋町を中心に開催されたイベントである。

ABCに続いて今度はMBSか。いよいよ俺たちの時代がきたんじゃね?

もしかするとそんな甘い考えが彼らの中にはあったのかもしれない。

事の発端は「中之島春の文化祭2016」の会場でのこと。

劇団に所属しているQの知り合いが偶然この文化祭の舞台に出演していたことから始まる。

Qがアカペラをやっていることを知らなかったその知り合いがぷっちだるの

ステージを観て偉く興奮し、「今度MBS主催のイベントに企画を出すんだけど

ぷっちだるも出演してみない?大丈夫!ぷっちだるだったら全然OK!!」と

誘われたのである。

大丈夫。

辞書で意味を調べてみると、「危なげなく安心できるさま」をいうらしい。

あるいは、「間違いがなくて確かなさま」もいうとのこと。

名詞形では「りっぱな男子。ますらお」も意味するらしい。

なるほど。大丈夫。ということは大丈夫なのだろう。

気持ちの良い五月晴れのもと、いざ茶屋町に集合。

おぉ、何か思ったよりも賑わっているな。というか、完全に人が多いな。

あれ、このイベントって想像以上にちゃんとした系のやつじゃないか?

しかし、彼らはまだ気づいていなかった。

これから始まるあの悪夢のような時間のことを。

 

今回彼らが参加する企画は「茶屋町ベンダーズ」というものであった。

企画したのはQの知り合いが所属する劇団。

そう。

その企画に参加するのは基本的にその劇団に所属する役者さんだったのだ。

究極のアウェー状態。

しかも役者さんだけあって衣装もメイクもばっちり決めている。

企画の内容は以下のようなものだ。まず自動販売機(ベンダー)に

パフォーマーが入る。つまり、パフォーマーは商品ということだ。

お客さんは専用のコインをベンダーに投入し、好きな商品を選ぶ。

選ばれた商品(パフォーマー)は自動販売機から外に出てパフォーマンスを披露する。

ちなみにベンダーの全面は扉になっており、そこからパフォーマーが

出入りする仕組みだ。

ベンダーには人数の関係でQだけが入った。そもそもベンダーには3人しか入れない。

ぷっちだるの商品名は「応援」となった。ぷっちだるの演奏を見てくれた

Qの知り合いが名付けてくれた。彼らのパフォーマンスを見てそう感じたのだろう。

ベンダーにスタンバイしたQは内心こう考えていた。

1発目は当たるな。

そもそもパーフェクト・アウェーの状態である。まずは様子を見てお客さん

の反応を確かめたい。そもそもどの年代のお客さんが来るか予想もできない。

こんなに消極的になったのはいつぶりだろう。

いざ販売スタート。

ベンダーの全面にはマジックミラーが張られており、中からお客さんの様子

も観察できる。

さて、はじめのお客さんは?

・・・って、子どもばっかりじゃないか!!!

やばい。

マジでやばい。

確実に引かれるでしょ。

早まる鼓動。滴り落ちる汗。

果たして始めに選べれる商品は?

♪ピンピロリ~ン

「おっと最初は、『応援』で~す!」

軽く気を失いそうになるQ。

それでも意を決してベンダーの外へ。

果たして子どもの反応は!?

・・・言い忘れていたことがある。パフォーマンスの時間は1分。

しかし彼らにとって、その1分は永遠のように長く感じられたという。

大丈夫。

危なげなく安心できるさま

間違いがなくて確かなさま

りっぱな男子。ますらお

あはは。あっはははは。

気持ちの良い五月晴れの下、茶屋町MBS前。

そこには、振り絞るような声で歌うおっさん達の引きつった顔と、

おっさん達に囲まれてどうすることもできない6歳くらいの男の子の怯えた顔があった。

ベンダーの営業時間は残り44分。

正に勝者なき戦い。ウィン・ウィンの関係ならぬルーズ・ルーズの関係。

果たして彼らは生き残ることができるか。

(続く)

 

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