アカペラーが知っておきたい最低限のPA機材の知識

こんにちは、しげです。
この記事では、アカペラライブに必要なPA機材について、初心者の方にもわかりやすく解説します。
特に、アカペラを始めて1~3年目の方を対象に、ライブやリハーサルで知っておくと役立つ基本的な機材の知識をまとめました。
これから初めてライブに出演予定の方や、音響に関して不安がある方の参考になれば嬉しいです。
ステージ上の機材の名前
アカペラライブでは、どんな機材が使われるのでしょうか。特に大切なのは、音を「どう届けるか」という部分です。ここでは基本的な機材を紹介します。
1. メインスピーカー(外音 – そとおと)
メインスピーカーは、観客に向けて音を届けるスピーカーです。「外音(そとおと)」と呼ぶ人もいます。
アカペラのライブでは、特に各パートの音のバランスが重要です。メインスピーカーがうまく音を伝えられないと、ハーモニーが聞こえづらくなってしまうこともあります。
2. モニタースピーカー・モニター・返し(中音 – なかおと)
モニターは、ステージ上のアーティストに音を届けるためにステージに対して内向きに設置されたスピーカーです。「中音(なかおと)」や「返し(かえし)」と呼ばれることもあります。
これにより、パフォーマーは自分たちの声を聴きながら歌うことができます。モニターがないと、声のバランスがわからず、歌いにくくなってしまうこともあります。
3. マイク
アカペラライブでは、マイクはとても大事な機材です。マイクを使うことで、自分の声をより遠くに、明確に届けることができます。
マイクの種類や使い方によって、音質やパフォーマンスの印象が大きく変わります。
マイクの”正しい”使い方については、この記事の後半でもご紹介しています。ぜひ参考にしてください。
4. シールド
シールドは、マイクや楽器から出る音をミキサーなどに送るためのケーブルです。
音声信号が通る通路なので、シールドが正しく接続されていないと、音が途切れたり、ノイズが入ったりしてしまいます。
5. 参考:ミキサー
ミキサーは、音を調整するための機材です。各マイクからの音量を調節したり、エフェクトをかけたりする役割を担っています。
ミキサーはPAさん(音響スタッフ)が操作するので、アカペラのパフォーマンス者としては、直接触れることは少ないかもしれませんが、音のバランスがどうなるかを理解しておくことは大切です。
マイクの正しい使い方
アカペラパフォーマンスでは、マイクの使い方がとても大事です。適切に使わないと、自分たちの声がうまく伝わらないことがあります。
ここでは、初心者の方がよく陥りがちな間違いと、それを避けるための正しいマイクの使い方について詳しく説明します。
1. マイクチェックのやり方
よくある間違い:マイクをたたいて確認する
初心者の方に多いのが、マイクのグリル部分(球型の網目状になっている部分)を叩いてしまうことです。
故障の原因になります、絶対にやめてください。
正しい使い方:マイクに息を吹きかける、爪でカリカリこする
マイクチェックは、息を吹きかけたり、爪で優しくこすることで、音が入っているかどうかを確認しましょう。
それでもマイクが機能していないようであれば、音響スタッフさん、PAさんに確認するようにしてください。
2. マイクの持ち方
よくある間違い:マイクのグリル部分を覆ってしまう
初心者の方に多いのが、マイクのグリル部分(球型の網目状になっている部分)を手で囲んでしまうことです。
マイクの音を拾う部分を覆ってしまうと、声がこもったり、音質が悪くなったりします。
ポップ音(”p”や”b”の音)が強く出てしまったり、風切り音(「フー」という音)が入ったりする原因になりますし、
下半分だけでも囲われてしまうと、ハウリングの原因となります。
正しい使い方:マイクの胴体部分を持つ
マイクのグリル部分を触らないように、マイクの「胴体」部分を持ちましょう。
こうすることで、音がクリアに、ナチュラルに拾われるようになります。
もし手が小さくてグリル部分をどうしても握ってしまいがちな場合は、指先を使って持つと良いでしょう。
3. マイクの角度と向き
よくある間違い:マイクが自分の口元に対して斜めになっている
マイクを口に対して斜めに向けてしまうと、声の一部がうまく拾われません。特に、低音や高音がぼやけてしまったり、音量が均一でなくなることがあります。
マイクを下向きに持ったり、横向きにしたりすることがよくある誤りです。
正しい使い方:マイクを口元にまっすぐ向ける
マイクは自分の口や鼻に対してまっすぐ向けることが基本です。
特にアカペラでは、細かな音のニュアンスやハーモニーが重要ですので、マイクを正しく向けることで、声がうまく拾われ、意図通りのパフォーマンスができます。
また、歌っていないときにも、スピーカーにはマイクを向けないように注意しましょう。音が増幅され、ハウリングの原因になります。
4. マイクとの距離
よくある間違い:マイクから遠すぎるor近すぎる
何らかの理由でマイクを遠ざけすぎると、音が小さくなり、声が聴き取れにくくなります。観客やモニターが十分に声を拾えず、パフォーマンスが弱々しく感じられてしまうこともあります。
逆に近すぎると、音が歪んでしまったり、ポップ音や息づかいが強調されすぎて不快な音になったりすることがあります。特に「P」や「B」の音が強すぎると、音割れや「ポン!」という音が出てしまいます。
ベースやボイパなど、意図的に近づける場合以外は、適切な距離を保つことを意識することが大切です。
正しい使い方:適切な距離を保つ
マイクとの距離は大切ですが、その適切な距離は状況によっても異なります。
基本的には、マイクと口元の距離を5〜15cm程度(こぶし一個分)に保つのが理想的です。
自分の声がしっかりとマイクに届くけれど、歪んだり、息づかいが強調されすぎたりしない距離を見つけましょう。
パフォーマンス中にマイクを近づけたり、少し離したりすることで、例えば、ソフトな部分では少しマイクを離し、強いフレーズや力強いパートでは近づけるなど、音の強弱や表現をコントロールすることもできます。
ですが、まずは自分たちの歌声で表現を調整できるように練習することをおすすめします。
鳴っていない音を鳴らすことはできませんし、小さい音を無理やり大きくすることは、ハウリングの原因にもなります。
マイクや機材による調整はあくまでもサポートと捉えましょう。
リハーサルで確認してほしいこと
ライブ前のリハーサルで、機材や音の調整はとても重要です。
自分の声がしっかり聴こえているか、モニターの音量は適切か、などを確認しておくことで、本番でのパフォーマンスがスムーズになります。
1. 自分の声が聞こえるかどうか
モニターで自分の声がしっかり聞こえていないと、パフォーマンスが難しくなります。
特にアカペラは、他の楽器の音がない分、声のバランスが非常に重要です。自分の声が聴こえるか、他のメンバーと調整しながら確認しましょう。
2. 調整のお願いの仕方
音響スタッフさん、PAさんに調整をお願いする際は、”ちょうどよく具体的に”伝えることが大切です。
「モニターの音を少し大きくしてほしい」「自分の声がもう少しクリアに聞こえるようにしたい」など、具体的かつ意図を明確にしたリクエストを伝えましょう。
細かすぎる依頼(例:リードボーカルの中音域をあげてほしい、パーカッションの高音域を下げて欲しいなど)は、相当慣れてきて、経験を積むまでは、おすすめしません。
外音はプロにおまかせでOK
アカペラライブでは、基本的には音響スタッフがメインスピーカー(外音)の調整を行います。ですので、外音に関しては、プロに任せておいてOKです。
リハーサルと本番では、客席にいるお客さんの数も違いますし、演奏の質が異なる場合もあります。
自分たちがしっかりモニターの音を確認できるようにすることを最優先にしましょう。
おわりに
マイクの使い方やリハーサルでの調整のやり取りは、経験を重ねることでだんだんと慣れてきます。
初めてのライブでは緊張するかもしれませんが、基本を押さえて、機材に頼りすぎずに、自分たちの声でしっかりと音楽を表現することが大切です。
まずはPA機材の役割を理解し、リハーサルでのやり取りを練習して、楽しいアカペラライブを迎えましょう!
それでは、素晴らしいパフォーマンスができますように!