勝者なき戦い ~チャリウッド2016・その2~
―その後。
地獄のような44分を過ごし第一部終了。
瞼の裏に映るのは、宇宙刑事ギャバンをおっさん達に歌われ立ちすくむ少女の姿。
♪ 男なんだろう~?
いえ、女ですけど?
極度の疲労感の理由は、ベンダーの中がサウナ状態だったからだけではないだろう。
誰からというわけではない。その言葉は、自然と彼らの口からこぼれた。
それは、彼らのうち誰もが思っていたことだった。
「何とかしよう。」
彼らは考えた。
他のパフォーマーのネタはウケていた理由は何か?
お客さんたちが求めているものは何か?
自分たちに足りないものは何か?
やがて彼らは、1つの答えを導き出す。それは、
彼らが奇しくも総合エンターテインメント・グループを名乗る上で必要不可欠なものであった。
それは、「分かりやすさ」だ。
考えてみれば「分かりやすい」とは一体どういうことだろうか。
注意しなければならないのは、「分かりやすい」というのは必ずしも
「正しい」とは限らないことだ。
刀で切られると死んでしまう。
帯を引っ張ると体がクルクルと回ってほどけてしまう。
友達の期待に応えないと「バカ!」と言って怒られる。
すべて、原因と結果がはっきりしている。ストーリーや役割がはっきりしているのだ。
しかし、彼らはどうだったか?
ベンダーから人が出てきて歌い出す。大人たちが数人集まってきて更に歌い出す。
そこには、はっきりとしたストーリーがない。
故に初めて彼らを見た人間にとっては「分かりにくい」ものになってしまうのだ。
おっと、話が何だか反れてしまったようだ。しかし、この話は実話である。
彼らは本当にこのような話し合いを第2部の直前に行っていたのだ。
茶屋町の歩道の上で。
そして彼らは考えた。まずはキャラと設定が必要であると。
ベンダーから出てきた瞬間から、その世界に入り込む必要があることを。
こうして出来上がった新しいスタイル。全くゼロからのプロダクツ。
さぁ、いざ行かん。第2部のステージへ。
ご覧いただきましょう!
総合エンターテインメント・グループ「ぷっちだる」プレゼンツ!!
ストリート・ショート・ショー「偶然街で出会った友人が
浮かない顔をしていていたのであの頃の思い出の歌を歌ってみた」
(続く)
チャリウッド2016・その1へ|チャリウッド2016・その3へ